[12] 再会 くすりばこ[URL] 2019/03/26(Tue) 02:41 ☆続きを描く ここを訪れるのは何十年ぶりだろう。廃屋の裏に、藪で覆われた古井戸を発見したのはAだった。コンクリートの蓋を二人ががりで片方ずらして、中をのぞきこんだ。石を投げ込むと小さな水音がした。中は真っ暗で何も見えなかった。それから…Aがふざけて井戸の淵に足をかけて…落ちた。水音は聞こえなかった。悲鳴も。あわてて覗き込んだが、円形の暗闇がよどむばかり。まるで吸い込まれるように、Aは井戸の中に消えてしまった。怖くなった私は逃げ出し、そのまま…誰にも言えず…結局Aは見つからなかった。 [13] Re: 再会 くすりばこ2019/03/26(Tue) 02:42 都会に出、長い年月のあげく、人生の敗残者となった私は、故郷に戻ってきた。井戸は昔のまま、そこにあった。あの日のままに。恐怖はなかった。私はかばんを置き、ゆっくりと井戸に歩み寄った。 △
廃屋の裏に、藪で覆われた古井戸を発見したのはAだった。
コンクリートの蓋を二人ががりで片方ずらして、中をのぞきこんだ。石を投げ込むと小さな水音がした。中は真っ暗で何も見えなかった。
それから…Aがふざけて井戸の淵に足をかけて…
落ちた。
水音は聞こえなかった。悲鳴も。
あわてて覗き込んだが、円形の暗闇がよどむばかり。まるで吸い込まれるように、Aは井戸の中に消えてしまった。
怖くなった私は逃げ出し、そのまま…誰にも言えず…結局Aは見つからなかった。