時には さりげなく


  八月も終わりから 数えるようになって
  あなたのこと 少しだけ思い出す
  男は 愛だけじゃ生きられないよって
  愛以外のなにか捜しに どこかに行ったはずのひと
  ショーウィンドウの中には 枯葉が舞い
  街は ひと足先の秋を迎えはじめる
  今でも きらいじゃないのよ
  時には さりげなく 街ですれちがいたい

  忘れてしまっても もういいかしら
  あなたの日焼けした 腕のやさしさを
  踊り場でサンダルの紐 結んでいるうちに
  階段 一段ぬかしして かけおりていったひと
  口笛ふきながら ひとつの恋が過ぎる
  秋は寂しい心に 次の恋をよび寄せる
  あれから どこに消えたの
  時には さりげなく 昔ふりかえりたい



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