乾燥期


なさけない気分さ
朝早く起きても
買い置きのパンに
なるべく薄くバタをひく

幾千の愛が
風のように消えてゆく
忘れないでいてよ
憎んでもいいから

汚れた陽の光より
コバルトの雨がすき
ひとつきり 掛かった油絵は
ほこりまみれの方がよくみえる

この前見たときは
夏だった窓の外を
冬枯れたペイントが
一面におおいつくしている
いつも同じ空
いつも同じいろ
すぎて
すぎて
あと三月



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