七夕は嫌い


週末ごとにデートする友人が
会えぬ日のつらさを テーブル越しに愚痴る
社交辞令の相槌をうちながら
私は 壁にかかった七月のカレンダーの向こうを見ていた

少し陽に焼けた紙の輪が 笹と一緒にゆれる
おりひめと ひこぼし
一年に一度 必ず会えると
約束されている―なんて幸せな恋人達
恋に溺れて
仕事さぼって飛ばされて
それでも毎年会える きっと二人はそろいのB型
短冊に書きたい 願いはひとつ
決してかなえられない 願いがひとつ

七夕はいらない
あのひとには もう二度と会えない

足元の蚊を気にしながら キスした
おそろいのうちわで 天の河を指さした
二人で会う これが最後の夜になるとも知らず
すくった金魚ぶらさげて 家まで帰った

七夕は嫌い
だってあのひとには もう二度と会えない




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