夜の海



     銀の粒をまき散らしたような 誰もいない夜の海に
     車止めて 何を語ろう 君はさっきから黙ったまま
     やつのこと忘れられないなら それでいいさ
     哀しいのは 想い出が夜ごとに美しくなること
     
     Moonlight 月の光だけが
     君の表情のかげりを映す
     風が冷たいわと 車の側にいる
     白いドレスが 秋の蝶に似ている
     あいつより 君を幸せにするって
     今の君には とても言えない

     ひょっとしたら 前にもここに来たことがあるの
     君は浜辺を うるんだ目の中につつむ
     寒いわ 帰りましょうと
     そっとぼくに 背をむける
     言いかけた言葉は 風が沖にひいていく




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